(9)心身の限界状態から急回復し、父への恨みつらみもうつ病も解消 羽村慶一さん(仮名・45歳)

(4) 治療に取り組むポイント

「自分はまんまるな存在」というとらえ方になった時に病は消える

今回ご紹介するのは、「10年以上改善しなかったうつ病が1ヵ月の受診で跡形もなく消えた」という体験です。

心の働きとして、うつ病を治そうとすると、病気の存在を認めてしまうことになるため、逆に病を固定化させてしまうということが治療の中で起こります。

治療は「治したい」からスタートしますが、治療が進んでいくのは、ご自身の中の自然治癒力=「真我」(本当の自分)に焦点がシフトし、「自分はまんまるな存在」「愛そのものの存在」という捉え方になっていったときです。

そのときに、病は「もともとなかった」ものとして消えていきます。

今回の体験談は、その治療過程を伝えてくださっています。

どうぞご覧下さい。

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◆父への恐怖に縛られた子ども時代◆

私は、非常に厳しい両親に育てられてきました。

ある時、オモチャをねだったところ、父に「本を1冊読んだら買ってやる」と言われ、嫌だと反発したことがありました。そしたらもうボコボコに殴られ、蹴飛ばされて、真夜中まで庭で正座させられてしまって。父が暴力的だったのは、私にだけではありません。両親の関係は悲惨で、異常なほど激しい夫婦喧嘩をしていました。父が怖い。そういう印象はやがて一人歩きし、呪縛となっていきました。

心身の異変に気づいたのは、32~33歳ごろのことです。

病院に通い始めたのですが、その時すでに典型的なうつ病の症状が出ていたのです。家業の電気屋の仕事だけは何とか続けていてお客さんに精一杯の笑顔を振りまいていました。でも、どんどんエネルギーがなくなっていくんですね。

この頃にいつも思っていたのは、自分が死ねば、その時初めて周囲が自分の気持ちを分かってくれるんじゃないかということです。富士の樹海にも行きましたし、首つりも試みようとしました。電気屋が電線で首つりなんて洒落にならないと思い、踏みとどまりました。

とことんまで父を追い詰めたこともありますが、そんな父も年老いて認知症となり、恨む相手すら失ってしまいました。

◆真我の自覚で、うつが消えた◆

YSメソッドとの出会いは、ネットでした。

大きく変化した実感があったのは、YSメソッドを受診して1ヵ月ほど経った時です。

何回も自分自身と向き合って行き着いたのは宇宙の中で、ふわんと浮いている自分でした。「何の束縛もないんだよ」ということが、ポーンと出てきたんです。

それが、私の体感した真我でした。

それまで縛られていた思い込みは、真我の反対にある「偽我」です。

この時の私は、偽我を殺す作業、過去の自分の全てを葬り去る作業をしたのだと思います。それらがなくなって、ポッカリと空いた大きな穴に、真我が落ちてきたという感覚でした。

うつ自体も幻想でしかなく、必要ないものだと分かりましたから、パッと消えてなくなりました。10年以上改善しなかったのに、わずか1ヵ月の受診で跡形もなく消えたのです。

そして、気づいてしまうと、もう死にたいとか、うつ病だとか、そんな場合ではなくなりました。喜びの遺伝子を遺すため、愛を伝えていくために、しなければならないことがたくさんあると気づかされたからです。

◆心の問題に、真我は答えを出す◆

父も今は昔が嘘のように優しくなりました。

この前、認知症の父が母に「なぁ、俺たちは幸せだよな。今まで一回も喧嘩したことないもんな」と、それは嬉しそうに言ったのです。

父はまるで、生きながら仏様になったようです。

科学技術の進歩に比べ、心の医療は発展の余地がある分野です。

人類が悩まされてきた心の問題に、真我は答えを出せるでしょう。

もし、思いつめている方がいらっしゃったら肉体を亡くす前に、駄目もとで門戸を叩いてください。少なくとも私は生きています。お願いします。