(5)うつ病の原因となった父へのトラウマが1日もかからずスピード解消、即寛解 長田健太さん(仮名・34歳)

(1) うつになって良かった

心の病は「根本原因」を解消した時に消えていく

今回お届けするのは、上司の厳しい対応からうつ病を発症した方が、お父さんから怒られながら勉強をさせられていたトラウマを解消することで、病から回復していかれた体験記です。

うつ病は、環境原因と根本原因が重なり合ったときに発症します。どちらか一つだけでは、病にはなりません。

今回の寛解者の方は、「上司の厳しい対応」という職場環境が原因で、うつ病を発症しました。

しかし、根本原因は、別のところにありました。

それが、子どもの頃に父親に怒鳴られながら勉強していたという過去の記憶の中に存在した、父親を憎む気持ちでした。

この心の中の「うつ因子」が根本原因となり同じように「厳しく怒られる」という環境に我が身が置かれたときに、うつ病を引き起こしたのです。

ですから、治療の方向性として、心の中に抱えた「うつ因子」を解消していくという処方箋が導き出せます。

うつ病の方は、心の中に何らかの「うつ因子」を抱えておられ、それが心の葛藤として現実の人間関係に現れます。

YSこころのクリニックでは、「心のMRI検査」という、心の中の葛藤度合いを調べ、潜在的に抱えるうつ因子の数と大きさを把握できる検査を実施しています。

「心のMRI検査」を受けてみたい方は、YSこころのクリニックまでお問い合わせください。ご相談をお受けしております。

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◆妻に支えられながら初めて精神科を受診◆

私がうつ病になったのは、職場で上司との関係が悪くなったことがきっかけでした。その上司とは前職からのつきあいで、ヘッドハンティングしてくれたし、とても仲のいい人だったんですね。

新しい職場では少人数の部署にもかかわらず、私以外の全員が辞めてしまいました。当然仕事量が増えて、上司からは厳しいことを言われ、バーンと机を叩かれ、体まで叩かれて深いショックを受けてしまったんです。

その後は24時間仕事をしているような感覚で、夢の中でも、子どもと遊んでいても頭の中で仕事をしていました。

かなり弱っていると思い、ある日、仕事から早く帰ったんですね。家でくつろいでいたら、上司からスマホにものすごい勢いで連絡があって、強く怒られました。

その夜、涙を流して落ち込んでいると、驚いた妻が「どうしたの?」と聞いてくれて、自分の実情をやっと話せました。

次の日、妻に支えられながら初めて新宿の精神科に行ったところ、うつ病と診断されました。

◆父へのわだかまりが決着、そして寛解◆

YSこころのクリニックに行ったのは、その翌日のことでした。

うつ病が寛解したのはさらにその五日後、2日間集中カリキュラムを受けた初日の、午後すぐのことです。

私は子どもの頃、父に積み木のトンカチで頭を殴られ、怒鳴られながら勉強していました。泣きながらの勉強は苦痛以外の何者でもなかったです。

そんな父を憎たらしいと思いつつワークを進めていったら、父は土日祝はもちろん、夜も勉強を見てくれていた。殴られ、怒鳴られがずっと繰り返されていましたが、ちょっと待てよ、これ、もしかして並大抵のことじゃない、すごいことをやってもらっていたのでは? と思ったんです。

今、私にも息子がいますが、自分が毎晩、土日祝と子どもに勉強を教える立場なら「いや、そんな大変なこと、勘弁してくれ」と思うわけです。他にも色々、どれだけ私に対して時間をかけてくれていたのか。

これは愛情以外の何者でもないのがわかり、嬉しいやら感謝やら涙が止まらなくなって過去のわだかまりが決着していきました。

それからは父を飲みに行こうと誘ったり、父が怪我をしたと聞けば生まれて初めて父のことを心配していて、自分の根幹がずいぶん変わったのを感じます。

復職後、会社に出勤してみて上司の見え方は若干変わりましたが、まだ難しさがあります。長期的に見れば何とかなるとは思っていますが。

うつの人ってずっと苦しんでますよね。

その人たちと比べて、この治り方は本当にすごいですし、奇跡だと思います。最近、久しぶりに妻と将来どこかの国に移住しようかと話をしたんです。

仕事だけで人生が終わってしまうのではなく、自分と妻の人生プランを、目標から逆算して考え始めています。